2011年3月23日水曜日

3/22-2

何も無くなった町で瓦礫と戯れながら、少女は歌っていた。白痴であった。皆視線を避けていた。しかし、今、瓦礫の向こう側で、誰か少女に合わせて歌う声があった。声は次第に大きくなり、数を増し、やがてはその墓標のようなビルを取り囲み、町民は皆、泣きながら歌っていたのである。